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焼き餅焼いても頬焼くな


  


とある火曜日。
ヤミショップの商品が入れ替わって、間もなく。
『ブキミな焼き餅』なる謎のアイテムを購入して、クリームパフはうきうきと帰ってきた。
普通に考えて、焼き餅は焼き餅である。
焼いた餅以外の何物でもなく、美味しいか不味いかのどちらかにしか分類されないはずだ。
かろうじて焦げたか焦げてないか、柔らかいか固いかくらいのはず。
それなのに、この焼き餅は『ブキミ』だと書かれているのである。
そんな形容詞をつけられるような焼き餅なんて、見たことない!
脳内に設置された好奇心メーターはすでに振り切れている。
鼻歌でも歌いだしそうな表情で、彼はリヴリーブックの中のアイテムリストを調べ始めた。
毎週火曜の恒例になったその光景を、ムシクイのジャッキーシューは呆れながら眺めている。
彼にとっては餅は食べるものであり、見るものではない。
食ベナイ餅ナンテ買ッテキタッテ仕方ナイジャナイカというのが彼の言い分だ。
焼き餅は焼き餅で、餅は食べられるために存在するはず。食ベラレナイワケガナイ、食ッチマオウ!と言わんばかりの表情をしているのだが。
クリームパフは全く意に介さず、先日購入した『火鉢』を取り出すと島の中央に据え付けた。
年越しの際には『ヤミ鍋』を乗せていたその上に、今度は『ブキミな焼き餅』をいそいそと乗せる。
そわそわとしっぽを揺らしながら待つこと、しばし。
ぷくり。
網の上、炭火で炙られている餅の中央が、確かに少し盛り上がった。
クリームパフは身を乗り出す。
すぐに引っ込んでしまった餅をじっと見つめる。
ぷくり。
また少し餅が膨らんで、しぼむ。
クリームパフは更に身を乗り出す。
ぷくり。
上面からそう離れていないところまで顔を近づけて、パフは焼き餅を観察する。
また膨らんだ焼き餅は、しかし今度はしぼまなかった。
ぷくーっ!
綺麗な焼き色を伸ばしながら、餅としてありえないくらい膨らむ。
みるみるうちにそれは元々のサイズの4倍ほどに膨れ上がり、両手のようなでっぱりが出たかと思うと、2つの目のようなものまで開いた謎の物体へと変貌を遂げた。
餅なのか。
これって、焼き餅なのか。
あまりにも謎すぎるそれを、真ん丸くなった目でパフは見つめている。
左右にゆらゆら揺れていて、一見ブキミというよりユーモラスではあるけれど。
すでに餅というよりも、宇宙人と言った方がしっくりきそうに思えてくる。
だって目が黄緑色なのだ。
一体何の成分が入ったら、真っ白だった餅がそんな色になるんだろう?
音もなく、その黄緑色がこちらを向いた、気がした。
驚いて瞬きをする間もなく、その手が膨らみパフの方へと長く伸びる。

「熱っ!」

ちょいとパフのほっぺたにくっついた。パフが小さく悲鳴を上げる。
目だけで器用ににたりと笑うと、『焼き餅、の、ようなもの』は姿を消した。
コレハ・・・オレニモ食ベラレナイナ、とジャッキーシューの視線が呟く。
予想だにしなかった展開に唖然としながら、クリームパフはこくりと頷く。
後にはただ、焼き跡のうっすらついた四角い餅が残るだけ。

 

 


 

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