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シロツメクサの小さな国


  


「ここを・・・こうかな?」
「うん、そう!それでこうやって、こうやるんだよ」
優しい日差しがぽかぽかと暖かな光をふりまく、春の昼下がり。
3匹のリヴリーが、小さな白い花をいっぱいにつけたクローバーの野原に座り込んでいた。
空と同じ模様のワンピースを着た、黄緑色の髪を風に遊ばせる愛らしい少女。
2匹の間にしゃがみこんだ、ミルクティのように柔らかな色の髪をした眼鏡の青年。
そして青年になにやら教えている、フサムシ色のポンチョに桜色の髪が映える女の子。
「そうしたら、ここをこうして、こうするの!」
桜の化身のような女の子、木ノ葉が手に持ったシロツメクサの花をくるりと回す。
反対の手に持った花の茎と絡めて結べば、花は繋がり、小さな白い鎖になった。
「こうやって、どんどん繋げていくんだよ」
そう言って、木ノ葉は青年を見上げて心底楽しそうににぱっと笑う。
大輪の花が開いたような笑みに、説明を聞いていたクリームパフは頬を緩めた。
「こうして、こう。本当だ、僕にもできたよ」
動きを真似て手にした花を絡めると、木ノ葉が手にしているものと同じ鎖ができあがった。
慣れないせいか少しいびつなそれを見て、木ノ葉はまた嬉しそうに笑顔を咲かせた。


秋霧のたなびく島に相次いでお客が来たのは、つい数分前。
珍しくも可愛らしいお客様に、シューが大喜びで出迎えたのは言うまでもない。
読書を終えてうとうとしていたパフもシューに揺り起こされて、喜んでお客を招きいれた。
今日の島は、シロツメクサの花に覆われたちゅちゅ島。
ベンチに腰かけてしばらく紅茶を楽しんでいるうちに、柚雨菜が花冠が作れそう、と口にした。
花を詰んでもいいか確認して、柚雨菜は早速花冠を作り始める。
一緒に作る!とばかりに駆け出した木ノ葉を見て、パフもベンチから腰を上げた。
見様見真似で作ってみようとしたのだけれど、そもそも花冠を作ったことは1回もない。絡めれど絡めれど花は落っこちて、どうにもうまく鎖にならない。
悪戦苦闘していたところで木ノ葉に基本を教わって、ようやく作り方を理解して。
やっと、クリームパフも花冠を作り始めた。
それを見た木ノ葉も自分の作業に戻り、黙々と、しかし楽しそうに、3人は花冠を仕上げていく。
風が頬を撫でては去っていく。草がざわめいて、伸ばした指先をそっとくすぐる。
「でーきたっ!」
とっても可愛らしく宣言して、柚雨菜が両手で長い花冠を持って立ち上がった。
「パフくんパフくん」
言いながらとてて、と近寄ってきて、それをパフの頭にすぽん!と乗せる。
「パフくんに柚雨菜の作った花冠あげる!」
「わぁ、ありがとう!」
思いがけない申し出に、つい花冠作りに熱中していたクリームパフが顔を上げた。
2人より早く作り始めていた柚雨菜の冠は、そのぶん普通のサイズよりも長さがある。
頭から落ちてきた冠をそっと両手で押さえると、柚雨菜がパフの顔を覗き込んだ。
「柚雨菜の作った花冠、ちょっとおっきかった?」
ほんの少し心配そうな声に、パフは笑って首を振る。
「ううん、大丈夫だよ。ほら」
中途半端に眼鏡の辺りにひっかかっていた花冠を、そっと引っ張って下にずらす。
「こうすれば首飾りになるから」
「ほんとだ!良かったー!」
「素敵な物をありがとう、柚雨菜ちゃん!」
手を叩いて喜ぶ柚雨菜に、再度クリームパフはお礼を言った。
「じゃあ僕も柚雨菜ちゃんに、『僕が初めて作った花冠』をあげるね」
ほどよく長くなっていた花の鎖の繋げ方を、2人に教わり、ようやく完成した花冠を、パフは柚雨菜の頭にちょこんと乗せる。
「わあ、柚雨菜ちゃん、お姫様みたい!」
「うんうん、黄緑色の髪に、すごくよく似合ってるよ」
「えへへ、ありがとー!」
溢れんばかりの笑みを浮かべてターンする柚雨菜に、2人の心からの賛辞が飛ぶ。
「それじゃ、木ノ葉もこの花冠はパフくんにあげるね」
木ノ葉が完成直前だった鎖を丸い輪にすると、パフは背の低い木ノ葉の前に膝をついた。
まるで戴冠式のように下げた頭に、木ノ葉が手を伸ばして花冠を被せる。
「なんだか、シロツメクサ王国の王様になった気分」
顔を上げたクリームパフは、なんだかとても照れくさそうに、けれどとても嬉しそうに微笑んだ。
「そうだ、次は木ノ葉姫に『僕が初めて1人で作った花冠』を捧げてもいいかな?」
せっかく丁寧に教えてもらったからと、クリームパフは木ノ葉に微笑む。
「柚雨菜も木ノ葉ちゃんの花冠作るー!」
しゅぴっと手を挙げ、柚雨菜は花畑にしゃがみこむ。
「嬉しい!それじゃあ、今度は柚雨菜ちゃんの花冠作るね!」
木ノ葉もきらきらと目を光らせて宣言して、その隣に座って白く揺れる花に手を伸ばした。

羨ましそうにその光景を見つめていたシューに3人から花冠が贈られるのは、それからすぐ後のこと。

 

 

お子様お借りしました! (アキハさん宅木ノ葉ちゃん&日向きのとさん宅柚雨菜ちゃん)

 


 

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