ットケーキ・タイム


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カラフルな袋の上の部分を、はさみでちょきちょき切っていく。
おっきなボウルにホットケーキミックスの粉をさらさらと入れたら、卵をぱかっと割り入れる。
白身と黄身がとろん、と落ちたところにミルクを入れて、泡だて器でくるくるかき混ぜれば、たっぷりのタネのできあがりだ。
マレークはフライパンを取り出しながら、その量の多さに首をかしげる。
「2袋って、ちょっと多すぎじゃないかなー」
「いいじゃない、いっぱい食べれば!」
妹のメイははっきりと言い切るけれど、マレークが心配しているのは、朝からこの量がお腹に全部入るか、ということなのだ。
(だって、食べきれなかったホットケーキが冷めたら、『ホット』じゃなくなっちゃって、『コールドケーキ』になっちゃうよー)
優しい色のきんいろ頭が、コンロの前にふたっつ並ぶ。
フライパンを火にかけたら、そこからはメイに交代だ。
おたまを持ってきたメイは、薄黄色のタネをたっぷりすくって、布巾に置いたフライパンに流し入れる。
弱火にかけて、ふつふつと穴が開いてきたら、くるんとひっくり返してもうちょっと。
その作業をしている時のメイはとっても楽しそうに笑っていて、見ているマレークも嬉しくなる。
ホットケーキはきれいなキツネ色だし、分厚くてふわふわしていそうだし、それでいてとっても上手にひっくり返すのだ!
(でもやっぱり、焼いてる量が半端ないよ)
用意したお皿に着実に積み上がっていくホットケーキ。
1人でいくつ食べることになるのか、見当も付かない。
ホットケーキ以外の朝食の用意をしていたマレークも、一段落したので、1枚焼かせてもらうことにした。
おたまでちょっとだけすくったタネをフライパンの中の3箇所に、てんてんてんっと落としてじっと見守る。
焼いてみたいのは、ミッキーの形のホットケーキだ。
「よーいしょっ」
フライ返しを入れてひっくり返せば、こんがり焼けたミッキーが顔を出す。
耳も顔もまあるいし、耳の位置もおかしくないし、顔のほうが耳よりちっちゃくもなっていないし、ちょっとキツネ色が濃い気もするけど、まずまずのできばえ!
お皿に移して、マレークは成功作を見つめてにっこりする。
「ミッキーに見える!」
「うんうん、見える!ミッキー!」
笑いあいながら、メイもミッキーの形にタネを落とす。
量が足りなかったのか、マレークのよりひとまわりくらい小さめだ。
だけどとっても上手な形!
くるっとひっくり返したところで、お皿を持ってきたマレークが引き返した。
「ちょっと待っててねー」
言いながら冷蔵庫をごそごそやって、出してきたのは真っ赤ないちご。
さっと洗って水気を切って、焼きあがったミッキーの頭に3粒添えれば。
「僕のがミッキーで、メイのがミニーちゃんだよー!」
ミニーの服を着たケマリのメイは、歓声を上げて、マレークとおんなじ顔で嬉しそうににっこりした。
また、新しいタネが、フライパンの中に注がれていく。
マレークはわしゃわしゃ手を洗って、お気に入りのアコーディオンを手に取った。
元気で楽しいメロディが、甘ーい香りと一緒に部屋中に広がって、開いている窓から清々しい空へと抜けていく。
ぽうん、と、また1枚、ホットケーキが跳ねた。


メロディは何度も繰り返して、やがて止まって、アコーディオンは元の位置に優しい手つきで下ろされる。
ホットケーキと、赤いリボンをつけたホットケーキと、冗談みたいに積み上がったホットケーキ・タワーが食卓に並ぶ。
頂きますの挨拶をしたら、四角いバターや蜂蜜や、メープルシロップがキツネ色の上にとろりとかかる。
空気をたっぷり含んでいる焼きたてのホットケーキは、甘くてふわっふわで幸せだ。
2人とも甘いのが好きだから、なおさらだ。
口の中のふわふわを飲み込んで、2枚目に手を伸ばしながらメイが尋ねる。
「ところでさっき弾いてたのって、何の曲?」
「『ホットケーキのテーマ』だよー」
作曲者、マレーク。

 

 

お子様お借りしました! (Sonora宅マレークさん、メイさん)
この小話とお借りしたお子様やその飼い主様は、飼い主様が「これきっとほんとにあったことだよ!」と認定しない限り、一切関係ありません

 


 

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